脳深部刺激療法(DBS)体験記 調整編 その2

(その1からの続き) この投稿では、DBS装置の調整時に発生した精神症状について報告しています。

再入院

電極を埋め込むための手術から1ヶ月ほど経ちました。あらかじめ手術の1ヶ月後に電気刺激の装置の電源を入れることになっていました。予定通りに再入院することになって、もはや懐かしささえ感じる神経内科の病棟に戻ってきました。正直なところ、手術直後は1人で昼間に自宅で過ごすのさえ随分不安に感じたものです。私はすっかり顔馴染みになったスタッフの方を見て、随分安心しました。これならば入院するのもそんなに悪くないな、とすら考えていました。呑気なものです。

精神症状

しかし、私の当初の呑気な考えとは裏腹に、この入院は手術そのものよりもずっと大変なものになってしまいました。当初の予定では、右脳と左脳の電気刺激を1日毎に交互に強くしていく予定でした。ところが、実際には治療の2日目に右脳の電気刺激を開始した途端に重大な問題が発生しました。精神症状が出てしまったのです。物凄い勢いで気分が落ち込み、完全に鬱状態になりました。また、物凄い被害妄想に囚われてしまいました。

自殺願望

さて、しばらく被害妄想に悶々としていました。が、さらに困ったことに、「この状況を抜け出すには自殺するしかない」という自殺願望まで出てきました。具体的にどうやったら今の状況で一番早く自殺できるかを考え始めた段階で、私はさすがにおかしいと気付きました。自殺願望がある患者にまず真っ先に聞かなければならないのは、具体的な自殺のための手段を当人が思い付いているかどうかなのです。私は頭の片隅でまだ少しだけ残っていた冷静さを絞り出して、考え続けました。私は自分自身が非常に危険な状態にあることを直ぐに理解しました。心理カウンセリングの訓練を受けていたおかげですが、皮肉なものです。(その3に続く)

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