脳深部刺激療法(DBS)体験記 手術篇 その5

この投稿では主にDBS手術の様子を、局所麻酔の時に私が感じた不安を中心に報告しています。

手術中の様子

頭蓋骨の穴

(その4からの続き) さて、電極の位置が決まったら、いよいよ電極の埋め込みです。先生達は最初はまず左脳から取りかかりました。しかしドリルで頭蓋骨に穴を開けられる、という一生におそらく1度しかないであろう一大ビッグイベントの瞬間には、私の意識はありませんでした。どうも麻酔の量で私の意識の有無をうまく調整しているようでした。

真っ赤な視界

さて、私が意識を取り戻したときにはなぜか視界が全部真っ赤で仰天しました。しかもこれまで感じたことのないような熱を全身に感じました。私は非常に不安に感じました。「先生!なんかめちゃくちゃ熱いんですけど!」と私は必死に訴えました。が、主治医のT先生は「はい、静かにしててくださいね〜」と済ました声で答えるだけです。

このままではゆでダコになるのではないかと思われました。が、しばらくすると熱さが治まってきて、視覚も戻ってきました。私は仰向けになっていて、視界にはいくつかのチューブが写っていました。「はい、吸引しまーす」という声が聞こえました。すると目の前のチューブを赤色の半透明の液体が流れていきました。この光景はなかなかシュールでした。

不安との闘い

この状態では特に痛みはありませんでしたが、もちろん頭は固定されていて動かせないし、なぜか排尿用のカテーテルが外れていてお漏らししてしまったりと、手術前に想像していたのよりずっと大変そうだということに気づくのに長い時間はかかりませんでした。

私はあと4時間ほどは局部麻酔で意識が残ったままなのを思い出して、かなり絶望的な気分になりました。が、自己憐憫と不安に浸っていても仕方がありません。これまでにカウンセラーとして働いてきたときに身につけた技術を総動員して自分の不安を抑えることに集中しました。正直この時ほど臨床心理学を勉強しておいてよかったと思ったことはありませんでした。特に誘導イメージ療法と坐禅の呼吸法の技術は非常に有効でした。お勧めです。(その6に続く)

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